雅歌 5:1-16, 雅歌 6:1-13, 雅歌 7:1-13, 雅歌 8:1-14 JCB

雅歌 5:1-16

5

ソロモン王

いとしい花嫁よ。さあ私は、自分の庭園にやって来た。

私は没薬と香料を集め、

はちの巣からみつを取って食べ、

ぶどう酒とミルクを飲んでいる。」

エルサレムの娘たち

「愛する方たちよ、食べて飲んでください。

十分に飲んでください。」

おとめ

ある夜のことです。眠っているとき、

夢の中で愛する方の声が聞こえました。

あの方は、私の寝室のドアをたたいていました。

『いとしい人、私の恋人、私のかわいい鳩よ、

開けておくれ。

夜通し外にいたので、すっかり露にぬれてしまった。』

私は答えました。

『もう寝間着を着てしまったのに、

また着替えるのですか。

足も洗ったので汚したくありません。』

それでも、愛する方が

鍵を開けようとするのを見て気の毒になり、

私は跳び起きて、ドアを開けました。

かんぬきの取っ手を引いたとき、

私の手から香水が、指からかぐわしい没薬の液が

したたり落ちました。

ところが、せっかくお開けしたのに、

もうあの方の姿は見えません。

私は心臓の止まる思いでした。

どんなにあちこち捜しても、

あの方は見当たらないのです。

必死にお呼びしても返事はありません。

私は警備の人に見つかり、たたかれました。

城壁の見張りにはベールをはぎ取られました。

エルサレムの娘さん、どうか誓ってください。

私の愛する方を見かけたら、

私が恋の病をわずらっていると伝えてほしいのです。」

エルサレムの娘たち

女性の中で一番美しい人よ。

私たちにそれほどまでに頼み込む

だれよりもすてきな人とはどんなお方ですか。」

おとめ

私の愛する方は日焼けして魅力的で、

ほかのどの男の方よりすてきです。

頭は純金、

黒い髪はウェーブがかかっています。

目は流れのほとりにいる鳩のようで、

穏やかに輝き、深く澄んでいます。

頬はかぐわしい香料の花壇、

くちびるはゆりの花、息は没薬のようです。

腕はトパーズをはめ込んだ丸い金の棒。

体は宝石をちりばめた光沢のある象牙。

足は純金の台座にすえられた大理石のようで、

レバノン杉のようにたくましいのです。

あの方にまさる人はいません。

あの方のことばは、うっとりするほどです。

あの方のすべてがすてきなのです。

エルサレムの娘さん。

これが私の愛する方、私の恋人です。」

Read More of 雅歌 5

雅歌 6:1-13

6

エルサレムの娘たち

だれよりも美しい人よ。

あなたの愛する人はどこへ行ったのですか。

その方を捜してあげましょう。」

おとめ

あの方は、ご自分の庭園、香料の花壇へ行きました。

羊の群れを飼い、ゆりの花を集めるためです。

私は愛する方のもの、愛する方は私のもの。

あの方は、ゆりの花の間で羊の群れを飼っています。」

ソロモン王

愛する人よ。

あなたは眺めのよいティルツァ(サマリヤの東にある町)のように美しく、

エルサレムのように愛らしい。

あなたは私をとりこにした。

そんなに見つめないでくれ。

あなたの目に、吸い込まれてしまいそうだ。

あなたの顔にゆれる髪は、

ギルアデの山腹を跳びはねて降りて来る

やぎの群れのようだ。

歯は、体を洗い流したばかりの雌羊のように、

真っ白で、きれいな歯ならびだ。

髪の毛のかかる頬はなんともかわいらしい。

私には、王妃が六十人、そばめは八十人、

おとめたちは数知れずいる。

だが、あなたのような完全な女性は、

ただの一人もいない。

エルサレムの女たちは、あなたを見て歓声を上げた。

王妃やそばめたちでさえ、あなたをほめそやした。

『夜明けのように上ってきて、

月のようにおしとやかな、太陽のように明るい、

私たちを魅了してしまうこの方は、

いったいだれですか』と。」

おとめ

私はくるみ林と谷へ行ってみました。

春の訪れを知りたかったからです。

ぶどうの木が芽を吹いたか、

もう、ざくろの花が咲いたかを見に。

でも、いつしか生まれ故郷がたまらなく恋しくなり、

帰りたくなりました。」

エルサレムの娘たち

シュラムの娘さん、帰って来てください。

私たちのところへ戻って来てください。

もう一度、あなたの顔を見たいのです。」

おとめ

「どうして、ただのシュラムの女を、

そんなに見たいのですか。」

ソロモン王

「それは、あなたが見事な舞を見せるからだ。」

Read More of 雅歌 6

雅歌 7:1-13

7

ソロモン王

女王のような高貴な人よ。

軽やかに歩くあなたの足はなんと美しいことか。

丸くてふっくらしたももは、

名人が磨き上げた宝石のようだ。

あなたのほぞは、ぶどう酒をなみなみとつぐ

器のように愛らしい。

腰は、ゆりの花をあしらった小麦の山のようだ。

乳房は、ふたごの子鹿のようにかわいらしい。

首は、象牙の塔のように形がよく、なめらかで、

目はバテ・ラビムの門のほとりにある

ヘシュボンの池のように澄んでいる。

鼻は、ダマスコを見下ろすレバノンのやぐらのように、

形がよく、筋が通っている。

カルメル山が山々の冠となってそびえているように、

あなたの髪はあなたの冠だ。

私は、その豊かな髪のとりこになってしまった。

ああ、あなたはなんとすてきな人なのだろう。

そばへ行くだけで、すっかり夢中になる。

あなたはやしの木のように背が高く、

ほっそりしている。乳房はなつめやしの房のようだ。

私は言った。やしの木によじ登って、枝をつかもう。

あなたの乳房はぶどうの房のよう、

あなたの口の匂いはりんごの香りのようであればいい。

あなたの口づけは、

最上のぶどう酒のようにすばらしく、

なめらかで甘く、眠っている者のくちびるを開かせる。」

おとめ

私は愛する方のもの、あの方の望みどおりの者。

私の愛する方、さあ、野原へ出かけ、

村にしばらく滞在しましょう。

早起きしてぶどう園へ行き、

ぶどうの木が芽を出したか、花が咲いたか、

ざくろの木が花をつけたかを見てみましょう。

そのぶどう園で、私の愛をあなたにささげます。

そこでは恋なすびが香りを放ち、

私たちの門のそばには、

古いのも新しいのも取り混ぜた最高の果物があります。

それは私の愛する方のために、

わざわざたくわえておいたものです。」

Read More of 雅歌 7

雅歌 8:1-14

8

おとめ

ああ、あなたが私のお兄さんだったらいいのに。

そうしたら、あなたに口づけしているのを

だれに見られても笑われませんから。

あなたを実家にお連れして、

そこでいろいろ教わりたいことがあるのです。

また、香料を混ぜたぶどう酒、

甘いざくろの果実酒を差し上げたいのです。

あの方の左手が私の頭の下にあり、

私を右手でしっかりと抱いてくださるとよいのに。

エルサレムの娘さん、

どうか、あの方が十分に眠るまで起こさない、

と誓ってください。」

エルサレムの娘たち

愛する人に寄りかかって、

荒野から上って来るのはだれでしょう。」

ソロモン王

「あなたの母が産みの苦しみをして、

あなたを産んだりんごの木の下で、

私はあなたの愛を呼び起こした。」

おとめ

私をあなたの心に刻みつけて、

どんなことがあっても見捨てないでください。

愛は死のように強く、

ねたみは地獄のようにきびしいからです。

それは炎となって輝く、主の炎です。

どんなに水をかけても、

愛の炎を消すことはできません。

洪水も、それを押し流すことはできません。

たとえ全財産をはたいてその愛を買おうとしても、

買うことができません。」

おとめの兄弟たち

私たちには、まだ乳房がふくらんでいない妹がいます。

だれかが彼女に結婚を申し込んだらどうしよう。」

彼女が純潔なら、励ましてあげよう。

しかしだらしないなら、男たちから切り離そう。」

おとめ

私は純潔です。

もう乳房は成熟しています。

そのため、愛する方の目にとまり、

かわいがってもらいました。

王様はバアル・ハモンに

ぶどう園を持っています。

それを土地の使用人に、

めいめい銀貨千枚で貸しています。

でも、王様。

私のぶどう園の場合は、王様には銀貨千枚を差し上げ、

管理人には銀貨二百枚ずつを払います。

庭園に住んでいる私の愛する方。

お仲間は、あなたの声に聞きほれています。

私にもぜひ聞かせてださい。

愛する方、早く来て、険しい山の上のかもしかや、

若い雄鹿のようになってください。」

Read More of 雅歌 8