マルコの福音書 5:21-43, マルコの福音書 6:1-6 JCB

マルコの福音書 5:21-43

イエス、少女を生き返らせる

イエスがもう一度、舟で向こう岸へ渡られると、大ぜいの群衆が詰めかけました。

そこへ、その地方の会堂管理人で、ヤイロという名の人が来て、イエスの前にひれ伏しました。 娘を助けてほしいというのです。「先生。私の娘が死にかけています。まだ、ほんの子どもなのに……。どうぞ、娘の上に手を置き、治してやってください。」

そこで、イエスはヤイロといっしょに出かけました。群衆は押し合いへし合い、イエスについて行きます。 その中に、出血の止まらない病気で十二年間も苦しみ続けてきた女がいました。 多くの医者にかかり、さんざん苦しい目に会い、治療代で財産をすっかり使い果たしてしまいましたが、病気はよくなるどころか、悪化する一方でした。 イエスがこれまでに行ったすばらしい奇跡を耳にした彼女は、人ごみにまぎれて近づき、背後からイエスの着物にさわりました。 「せめて、この方の着物にでも手を触れさせていただけば、きっと治る」と考えたのです。 さわったとたん、出血が止まり、彼女は病気が治ったと感じました。

イエスはすぐ、自分から病気を治す力が出て行ったのに気づき、群衆のほうをふり向いて、「今、わたしにさわったのはだれですか」とお尋ねになりました。 「こんなに大ぜいの人がひしめき合っているのです。それなのに、だれがさわったのかと聞かれるのですか。」弟子たちはけげんな顔で答えました。

それでもなおイエスは、あたりを見回しておられます。 恐ろしくなった女は、自分の身に起こったことを知り、震えながら進み出てイエスの足もとにひれ伏し、ありのままを正直に話しました。 イエスは言われました。「娘さん。あなたの信仰があなたを治したのです。もう大丈夫です。いつまでも元気でいるのですよ。」

こう話しておられる時、ヤイロの家から使いの者が来て、娘は死んでしまったので、来ていただいても手遅れだと伝えました。 しかしイエスは、ヤイロに言われました。「恐れてはいけません。ただわたしを信じなさい。」

イエスは群衆をその場にとどまらせ、ペテロとヤコブとヨハネのほかは、だれもついて来ることをお許しになりませんでした。 ヤイロの家に着くと、だれもかれも取り乱し、大声で泣いたり、わめいたり、たいへんな騒ぎになっています。これを見たイエスは、 中に入り、「なぜ、そんなに取り乱しているのですか。子どもは死んだのではありません。ただ眠っているだけです」と言われました。

それを聞いた人々は、イエスをあざ笑いました。しかし、イエスはみなを家の外に出すと、娘の両親と三人の弟子だけを連れて、娘のいる部屋に入られました。

そして娘の手を取り、「さあ、起きなさい」と声をかけました。 するとどうでしょう。少女はすぐに起き上がり、歩き始めたではありませんか〔娘はこの時、十二歳でした〕。両親は、ただあっけにとられています。 イエスは、このことを決して口外しないようにときびしくお命じになってから、少女に何か食べさせるように言われました。

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マルコの福音書 6:1-6

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まもなくイエスはその地方を去り、弟子たちを連れて故郷の町ナザレに帰られました。 次の安息日に、イエスが会堂に出かけて話をされると、聴衆はその教えに驚きました。イエスのことを、自分たちと同じ、ただの田舎者だと思っていたからです。

「あれのどこがおれたちと違うというんだ。ただの大工のせがれじゃないか。母親はマリヤだし、ヤコブやヨセやユダやシモンは兄弟だ。妹たちだって、われわれとこの町に住んでいるじゃないか。」こうして、町の人たちはイエスに背を向けました。 そこで、イエスは言われました。「預言者(神に託されたことばを語る人)はどこででも尊敬されます。ただ、自分の故郷、親族、家族の中ではそうではありません。」 そのため、わずかの病人に手を置いて治されただけで、そこでは何一つ力あるわざを行うことができませんでした。 イエスは、ナザレの人たちの不信仰に驚かれました。

このことがあってから後、イエスは近辺の村々を巡り歩いて、教えられました。

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