マルコの福音書 11:1-28 JCB

マルコの福音書 11:1-28

11

エルサレムに着いてから

エルサレム郊外のオリーブ山のふもとに、ベテパゲとベタニヤという二つの村がありました。その近くまで来られた時、イエスはこう言って、弟子を二人、村に使いに出されました。「あそこの村に行きなさい。するとすぐに、だれも乗ったことのないろばの子がつないであるのに気づくでしょう。それをほどいて、連れて来なさい。 もし、だれかに何をしているのかと聞かれたら、『主がお入用なのです。すぐお返しします』とだけ答えなさい。」

二人が出かけてみると、なるほど、表通りに面した家の外に、ろばの子がつないであります。さっそく綱をほどきにかかると、そばにいた人たちが見とがめ、「そのろばの子を、いったいどうしようというんだ」と尋ねました。

二人がイエスに教えられたとおりに答えると、その人たちは納得しました。

ろばの子をイエスのところに連れて来た弟子たちは、上着を脱ぎ、ろばの背中にかけました。イエスがその上に乗られると、 群衆の中の多くの者たちも次々と上着を脱ぎ、イエスの進んで行かれる道に敷いたり、野原から葉のついた枝を切ってきて、敷き並べたりしました。

イエスを行列の真ん中にし、ぐるりと取り囲んだ群衆が、口々に叫びました。

「王様、ばんざーい!」

「主の御名によって来られる方に祝福を!」

「この方が興される御国に、われらの父祖ダビデの国に祝福を!」

「全世界の王、ばんざーい!」

こうしてイエスはエルサレムに着き、宮に入られました。そして中の様子をよくごらんになってから、もう時間も遅かったので、十二人の弟子たちといっしょに、ベタニヤまで引き返されました。

翌朝、ベタニヤを出たイエスは、途中で空腹になられました。 ふと見ると、少し離れた所に、葉の茂ったいちじくの木があります。近づいて、実がなっているかどうかごらんになりました。ところが、その木は葉ばかりでした。まだ実のなる季節ではなかったからです。

それでイエスは、その木に向かって、「二度と実をつけることがないように」と言われました。弟子たちはこのことばを心にとめていました。

エルサレムに着くと、イエスは宮に入り、境内で商売をしていた者たちを追い出しにかかって、両替人の机や、鳩を売っていた者たちの台をひっくり返されました。 また、いろいろな荷物を持って境内を通り抜けることも、お許しになりませんでした。

そういう人たちに、イエスは、このように言われました。「聖書には、『わたしの家は、世界中の人たちの祈りの場所と呼ばれる』イザヤ56・7と書いてあるではありませんか。それなのに、あなたがたはここを強盗の巣にしてしまったのです。」

こうしたイエスの言動を耳にした祭司長やユダヤ人の指導者たちは、どうすれば首尾よくイエスを始末できるかと、相談を始めました。人々がみなイエスの教えに夢中になっていたので、へたに動いて暴動でも起きたら、それこそ一大事と考えたからです。

その夕方、いつものようにイエスと弟子たちはエルサレムを出ました。 翌朝、例のいちじくの木のそばを通りかかると、なんと、根もとまですっかり枯れているではありませんか。 ペテロはすぐ、前の日にイエスがこの木に向かって言われたことばを思い出し、大声をあげました。「先生。ごらんください。昨日あなたがのろわれた木が枯れています!」

イエスは、弟子たちにお答えになりました。「よく言っておくが、あなたがたでも神を信じさえすれば、この山に『動いて、海に入れ』と言っても、そのとおりになります。大切なのは、信じて疑わないことです。 いいですか。よく聞きなさい。あなたがたはどんなことでも祈り求めることができます。そして信じて疑わないなら、それらのものはみな与えられるのです。すでにあなたがたのものなのです。 しかし、祈っている時、だれかに恨みをいだいていたら、まずその人を赦してやりなさい。そうすれば、天におられるあなたがたの父も、あなたがたの罪を赦してくださいます。」

一行は、またエルサレムにやって来ました。イエスが宮の中を歩いておられると、祭司長やユダヤ人の指導者たちが近づいて、「ここで何をしているのか。いったいだれがあなたに、商人たちを追い出す権利を与えたのか」と責めました。

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