ルカの福音書 22:63-71, ルカの福音書 23:1-25 JCB

ルカの福音書 22:63-71

さて、見張りの警備員たちは、イエスをからかい始めました。目隠しをしては、こぶしでなぐり、「おい、今なぐったのはだれだ。当ててみろよ、預言者様」とはやし立てるなど、 ありとあらゆる侮辱を加えました。

夜が明けそめるころ、ユダヤの最高議会が開かれました。祭司長をはじめ、国中の指導者が勢ぞろいしています。そこへイエスは引き出され、 尋問が始まりました。「ほんとうに、おまえはメシヤ(救い主)なのか。はっきり言いなさい。」イエスは言われました。「そうだと言ったところで、信じる気はないでしょう。釈明させるつもりも。 しかし、栄光のメシヤであるわたしが、全能の神の右の座につく時はもうすぐ来ます。」 議会は騒然となり、尋問の声も荒立ってきました。「なに!あくまで神の子だと言いはるつもりか!」「そのとおりです。」イエスはお答えになりました。 「これだけ聞けば十分だ! 彼の口から確かに聞いたのだから。」議員たちは叫びました。

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ルカの福音書 23:1-25

23

イエス、死刑の判決を受ける

衆議一決し、全議員がそろって、イエスを総督ピラトのもとに連れて行きました。 そして口々に訴えました。「この男は、ローマ政府に税金を納めるなとか、自分こそメシヤだの、王だのと言って、国民を惑わした不届き者です。」 ピラトはイエスに問いただしました。「ほんとうに、おまえはユダヤ人のメシヤで、王なのか。」「そのとおりです。」 ピラトは祭司長や群衆のほうを向き、「この男には何の罪もないではないか」と言いました。 これを聞いて人々は、必死になって叫びました。「この男はガリラヤからエルサレムまで、ユダヤ全国で民衆をたきつけ、暴動を起こそうとしたんですよ!」 そこでピラトは、「では、この男はガリラヤ人なのか」と尋ね、 人々がそうだと答えると、イエスをヘロデ王(ヘロデ・アンテパス)のもとへ連行するように命じました。ガリラヤはヘロデの支配下にあり、その時ヘロデは、ちょうどエルサレムに滞在中だったからです。

イエスに会えて、ヘロデは大喜びでした。前々からイエスのうわさを耳にし、一度、イエスが行う奇跡を見てみたいと思っていたのです。 ヘロデはイエスを前にして、次から次へと質問をあびせました。ところがイエスは口をつぐみ、何一つ答えません。 祭司長や他の宗教的指導者たちは、そばに立ち、激しい口調でイエスを訴えました。 ヘロデと部下の兵士たちは、さんざんイエスをばかにし、あざけったあげく、王が着るようなガウンを着せて、ピラトのもとに送り返しました。 それまで敵対していたヘロデとピラトがたいそう親しくなったのは、この日からです。

ピラトは、祭司長とユダヤ人の指導者たち、それに民衆もみないっしょに呼び出し、 判決を言い渡しました。「おまえたちは、この男を、ローマ政府への反乱を指導したかどで訴えた。それでくわしく調べてみたが、そのような容疑事実はない。この男は無罪だ。 ヘロデも同じ結論に達し、私のもとに送り返してきた。この男は死刑にあたるようなことは何もしていない。 だから、むちで打ってから釈放しようと思う。」

しかし、人々はいっせいに叫び立てました。「そいつを殺せ! バラバを釈放しろ!」 バラバとは、エルサレムで政府転覆を図った罪と殺人罪とで投獄されていた男でした。 ピラトは、なんとかしてイエスを釈放しようと、なおも群衆を説得しましたが、 彼らは聞き入れません。「十字架だ! 十字架につけろ!」と叫び続けるばかりです。 ピラトは、三度も念を押しました。「どうしてだ。この男がどんな悪事を働いたというのか。死刑を宣告する理由など見つからん。だから、むち打ってから釈放してやるつもりだ。」 それでも騒ぎはおさまりません。ますます大声で、イエスを十字架につけろと要求する群衆の声に、ついにピラトも負けてしまいました。 しかたなく彼らの要求どおりに、イエスに死刑を宣告し、 反逆罪と殺人罪で投獄されていたバラバを釈放しました。一方、イエスのほうは、すぐに人々の手に渡し、彼らの好きなようにさせました。

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