ヨシュア記 8:1-35, ヨシュア記 9:1-15 JCB

ヨシュア記 8:1-35

8

アイ攻略 

それから、主はヨシュアに命じて言いました。「恐れてはいけない。勇気を出しなさい。全軍を率いて、アイを攻撃せよ。勝利は目の前にある。わたしは、アイの王と全住民をあなたの手に渡す。 エリコとその王にしたとおり、アイとその王にもせよ。ただし、今回は奪い取ったものや家畜を自分たちの戦利品としてもよい。町の後方には伏兵を置きなさい。」

本隊がアイに向かう前に、ヨシュアは三万の精兵をひそかに派遣し、いつでも行動を起こせるよう、アイの後方のそれほど遠くない場所に、伏兵として忍ばせました。 ヨシュアは伏兵たちにこう説明しました。「さて作戦だが、まず本隊が攻撃をしかける。アイの軍は前回同様に町から出て来て戦うだろう。そこで、本隊は逃げる。 彼らはそれを追いかけて来る。つまり、町は空っぽになるというわけだ。彼らは、『イスラエル軍がまた逃げて行くぞ。この前のとおりではないか』と言うに違いない。 そこに、隠れていたあなたたちが飛び出し、町に攻め入るのだ。主は町を私たちの手に渡してくださる。 そこに入ったら、町に火をかけるのだ。」

こうして三万の精兵は夜中に本隊を離れ、アイの西端とベテルとの中間の地点に隠れました。一方、ヨシュアの率いる本隊は、エリコの宿営にとどまって夜を過ごしました。

翌朝早く、ヨシュアは兵を起こして長老たちを伴ってアイを目指し、 アイの北にある谷を前にして陣を敷きました。その夜、ヨシュアはさらに五千の兵を選んで、町の西方に隠れている別動隊に合流させ、自分はその谷で夜を過ごしました。

アイの王は、イスラエル軍が谷を渡って来るのを見ると、朝早く、アラバの平原で迎え撃とうと町を出ました。もちろん、町の後方に伏兵がいるとは夢にも思いませんでした。 ヨシュアの率いるイスラエル軍は、さんざん痛めつけられたように見せかけ、いっせいに荒野へ退却しました。 すると、アイの町中の兵士が追撃しようと、おびき出されたのです。案の定、町は無防備になりました。 アイからもベテルからも、兵士は一人もいなくなり、町の城門は開け放たれたままでした。

その時、主はヨシュアに命じました。「手にしている投げ槍を、アイの方に差し伸べよ。わたしがアイをあなたの手に渡すからだ。」言われたとおりにすると、 その合図を待っていた伏兵がいっせいに飛び出して町の中になだれ込み、火を放ちました。 アイの兵士たちが振り返ると、町から上る煙が空いっぱいに立ち込めているではありませんか。彼らは逃げ場を失いました。ヨシュアとその全軍は、煙を見て、伏兵が町に侵入したことを知りました。それで、追いかけて来た者たちに向き直り、反撃に出ました。 町に侵入したイスラエル軍も出て来て、背後から敵に襲いかかりました。このようにしてアイは罠にはまり、全滅したのです。生き残ったり逃れたりした者は一人もいませんでした。 しかし、アイの王だけは捕虜とされ、ヨシュアのもとに連れて来られました。

イスラエル軍はアイの全軍を一人残らず倒すと、町へ取って返し、残っていた人々を次々に打ちました。 こうして、アイの全住民一万二千人が、その日のうちに死に絶えたのです。 ヨシュアは、最後の一人にとどめが刺されるまで、投げ槍をアイの方に差し伸べたままでいました。 ただし、家畜と分捕り物はそのまま残しておきました。それはイスラエル軍のものでした。あらかじめ主がヨシュアに、そうしてよいと告げていたのです。 焼き払われたアイは荒れ果てた丘となり、現在に至っています。 ヨシュアは、アイの王を夕方まで木にかけてさらし、日が沈むと死体を降ろして町の門の入口に投げ捨てました。その上に積み上げた石の山は、今も見ることができます。

エバル山での律法の朗読

ついでヨシュアは、モーセが命じたとおり、イスラエルの神である主のためにエバル山に祭壇を築きました。 律法の書に、「わたしのために、のみを当てたことのない石で祭壇を築け」と言われているとおりに。祭壇が完成すると、祭司たちはその上に、焼き尽くすいけにえと和解のいけにえをささげました。 またヨシュアは、人々が見守る中で、祭壇の石に十戒を刻みつけました。

それから、長老、裁判官、在留外国人も含むイスラエル人全員は二組に分けられ、一方はゲリジム山のふもとに、もう一方はエバル山のふもとに立ちました。両者の間には、主の契約の箱をかつぐ祭司たちが全員を祝福しようと待ちかまえていました。すべて、先にモーセが命じたとおりに行われました。 ヨシュアは、モーセが律法の書に記した祝福とのろいのことばを、ことごとく読み上げました。 モーセの与えたすべての戒めが、女や子ども、それに在留外国人も含む全会衆の前で読み上げられたのです。

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ヨシュア記 9:1-15

9

ギブオン人の策略 

さて、エリコでの出来事を耳にした周辺国の王たちは、さっそく連合し、ヨシュアとイスラエル軍に全力を挙げて対抗しようとしました。ヨルダン川の西側で、北はレバノン山脈までの地中海沿岸に住む、ヘテ人、エモリ人、カナン人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人の王たちでした。

しかしギブオンの住民は、エリコとアイでの一部始終を聞いて、何とか生き延びようと策略を巡らし、使者をヨシュアのもとへ送りました。使者の一行は、いかにも遠い国から旅して来たかのように、ぼろぼろの服を着て、繕ったくつをはき、風雨にさらされた袋と、つぎはぎだらけのぶどう酒の皮袋と、かび臭い乾ききったパンをろばに積んでいました。 一行はギルガルのイスラエルの陣営に着くと、ヨシュアと人々にこう言ったのです。「私どもは、友好条約を結んでいただきたくて、遠い国からまいりました。」

人々は、このヒビ人たちに答えました。「あなたたちがこの近くに住んでいないという確証はない。このあたりの住民を滅ぼせと主から命じられている以上、条約を結ぶわけにはいかない。」

「私どもを奴隷にしてくださってもけっこうです。」

「それにしても、あなたたちはいったい何者だ。どこから来たのか」とヨシュアは尋ねました。 「私どもは遠い国からまいりました。あなたの神、主の偉大なお力と、エジプトでなさったすべてのことは知っております。 それに、あなたがエモリ人の二人の王、あのヘシュボンの王シホンとバシャンの王オグとを、どんな目に会わせられたかもよく知っております。 それで、私どもの長老や住民がこう言うのです。『さあ、長旅の用意をして、イスラエルの人々を訪ねてくれ。そして、奴隷になると申し上げて、和平を求めて来るように』と。 このパンなど、出発した時には焼き立てのほかほかでしたが、今はごらんのとおり、すっかりひからびて、かび臭くなっております。 このぶどう酒の皮袋も新品でしたが、今は古びて、破れてしまっておりますし、着物もくつも、難儀な長旅ですっかりぼろぼろになってしまいました。」

このことばに、ヨシュアもほかの指導者たちも、とうとうその一行を信用し、主の指示を仰ぐこともせず、和を講じてしまったのです。そして、厳粛な誓いを立てて協定を結びました。

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