創世記 14:1-24, 創世記 15:1-21, 創世記 16:1-16 JCB

創世記 14:1-24

14

ロトの救出

折りも折り、この地方に戦争が起こりました。

シヌアルの王アムラフェル、エラサルの王アルヨク、エラムの王ケドルラオメル、ゴイムの王ティデアルの同盟軍が、ソドムの王ベラ、ゴモラの王ビルシャ、アデマの王シヌアブ、ツェボイムの王シェムエベル、のちにツォアルと呼ばれたベラの王の連合軍と戦ったのです。 ソドム、ゴモラ、アデマ、ツェボイム、ベラの王たちは、今は塩の海といわれるシディムの谷に全軍を集めました。 この五人の王は、十二年間ケドルラオメル王に支配されていましたが、十三年目に反乱を起こしたのです。

一年後、ケドルラオメル王の率いる同盟軍が討伐に乗り出し、むごたらしい戦いが始まりました。同盟軍は、アシュテロテ・カルナイムのレファイム人、ハムのズジム人、キルヤタイムの平原にいたエミム人、セイルの山のホリ人を打ち破り、さらにその勢いに乗って、砂漠との境にあるエル・パランまで進軍しました。 そこから引き返し、今のカデシュに当たるエン・ミシュパテでアマレク人を破り、さらにハツァツォン・タマルのエモリ人をも破りました。 ソドム、ゴモラ、アデマ、ツェボイム、ベラ〔ツォアル〕の連合軍は、ケドルラオメル王の同盟軍に塩の海で戦いを挑みましたが、敗れました。 そのころ、谷にはアスファルトの穴がたくさんあり、退却する時、ソドムの王とゴモラの王はその穴に落ち、残りの者は山へ逃げ込みました。 同盟軍は勝利の余勢をかってソドムとゴモラを略奪し、町中の財産と食糧をことごとく奪って引き揚げました。 その時、アブラムの甥ロトもソドムに住んでいたので、捕虜にされ、全財産を奪われました。

一人の男が逃亡して、ヘブル人のアブラムのところへ駆け込み、一部始終を報告しました。アブラムはそのころ、エモリ人マムレの所有地にある樫の木立の中に野営していました。マムレは、アブラムと盟約を結んでいたエシュコルとアネルの兄弟でした。

ロトたちが捕虜になったことを聞くと、アブラムは家のしもべたち総勢三百十八人を引き連れ、引き揚げるケドルラオメルの同盟軍をダンまで追いかけました。 そして夜になって、奇襲攻撃を展開して、敗走する敵軍をダマスコの北、ホバまで追跡し、 略奪された全財産とロト、それに捕虜になっていた人々すべてを取り返しました。

こうしてアブラムがケドルラオメル王を打ち破り、現在の「王の谷」に当たるシャベの谷まで引き揚げると、ソドムの王が彼を出迎えました。 また、シャレム〔エルサレム〕の王、いと高き天の神の祭司メルキゼデクは、パンとぶどう酒を持って来て、 アブラムを祝福しました。

「天地のすべてを造られた、いと高き神の祝福が、

アブラムよ、あなたにあるように。

あなたを敵に勝たせてくださった神が

あがめられるように。」

アブラムは、メルキゼデクに戦利品の十分の一を贈りました。

ソドムの 王は、取り戻された財産を受け取ろうとせず、「捕虜にされていた国民を返してくださるだけで十分です。町から盗まれた物は、どうぞそのままあなたがお取りください」と言いました。 しかしアブラムは答えました。「私はいと高き神、世界を造られた神に堅く誓いました。 ですから、くつひも一本頂くわけにはまいりません。『アブラムは私が物を与えたから豊かになった』などと言われたくないのです。 ただし、追跡に加わった私の軍の若者が食べた分まではお返ししません。それ以外は、いっさい頂きません。戦利品の分け前は、アネル、エシュコル、マムレに与えてください。」

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創世記 15:1-21

15

神とアブラムの契約

そののち主が幻の中でアブラムに現れ、こう語りかけました。「アブラムよ、心配することはない。わたしがあなたを守り、大いに祝福しよう。」

「ああ神様、私に息子がないのはご存じでしょう。どんなに祝福していただいても、子どもがいなければ、全財産は一族のだれかほかの者が相続することになるのです。」

「いや、そんなことはない。ほかの者があなたの跡継ぎになることは決してない。財産を相続する子が、あなたに必ず生まれる。」

それから主はアブラムを外へ連れ出し、満天の星空の下に立たせました。「空を見なさい。あの星を全部数えられますか? あなたの子孫はあの星のようにとても数えきれないほどの数になる。」 アブラムは主を信じました。主はアブラムの信仰を義と認めました。

「カルデヤのウルの町からあなたを導き出したのは、このわたしだ。それは、この土地を永遠にあなたのものとするためだ。」

「神様、できれば、その確かな証拠を見せてください。」 すると、主は次のように言われました。「それぞれ三歳の雌牛と雌やぎと雄羊、それに山鳩とそのひなを持って来て、 殺し、真ん中から引き裂いて二つに分けなさい。ただし、鳥は裂いてはいけない。」 アブラムは言われたとおりにし、はげたかが死体の上に舞い下りて来そうになると、追い払いました。

やがて夕方になり、日が西に傾きました。アブラムは眠くて、どうにも我慢ができなくなりました。すると、何か恐ろしいことが起きる前兆のような、深い闇が忍び寄ってきたのです。 その時、主の声がしました。「あなたの子孫は四百年の間、外国で奴隷とされ、苦しめられるだろう。 だが、その国をわたしは罰する。そしてついには、あり余るほどの富を携えて、彼らはその国から脱出することになる。 あなたは天寿を全うし、安らかにこの世を去るだろう。 四世代ののち、彼らはこの地に帰る。今ここに住んでいるエモリ人の国々の悪行は、まだ最悪には至っていない。だがその時がきたら、きびしい罰を受けることになる。」

もう日はすっかり沈み、あたりは真っ暗です。見ると、煙のたち込めるかまどと燃えるたいまつが現れ、二つに引き裂かれた動物の死体の間を通り抜けました。 こうしてその日、主はアブラムと契約を結ばれたのです。「わたしはこの地をあなたの子孫に与える。ワディ・エル・アリシュ〔エジプト川〕からユーフラテス川に至る地を。

また、ケニ人、ケナズ人、カデモニ人、ヘテ人、ペリジ人、レファイム人、エモリ人、カナン人、ギルガシ人、エブス人の国々をも与えよう。」

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創世記 16:1-16

16

イシュマエルの誕生

主の約束にもかかわらず、サライとアブラムには、なかなか子どもができませんでした。そこでサライは、ハガルというエジプト人の女の召使を、 アブラムにそばめとして与えました。「主はいつまでたっても子どもを授けてくださらないので、あなたが私の召使を迎え入れるしかないと思います。もし子どもが生まれたら、私の子ということにしてください。」アブラムは同意しました。こうしてカナンの地に来てから十年後、 アブラムはハガルを迎え、やがて彼女は妊娠しました。ところが、そのことがわかると、ハガルはとたんに傲慢になり、女主人のサライに横柄な態度をとるようになったのです。

サライはアブラムに申し立てました。「召使が私を見下げるなんて、みんなあなたのせいですよ。ハガルはいったいだれのおかげで、子どもを身ごもったと思っているのでしょう。こうなったら、どちらが正しいか、主に決めていただきましょう。」

「まあまあ、そこまで言わなくても。あの娘をおまえの好きなように罰したらいいではないか。」それならと、サライは召使ハガルにとてもつらく当たりました。我慢できず、ハガルは逃げ出しました。 ようやく彼女が、シュルに通じる道のわきにある砂漠の泉のそばまでたどり着いた時、神の使いが彼女を見つけました。

「サライの召使ハガルよ。どこから来て、これからどこへ行くつもりですか。」

「女主人のところから逃げ出して来たのです。」

「それはいけない。戻って従順に仕え、務めをきちんと果たしなさい。心配はいりません。あなたには男の子が生まれるから、イシュマエル〔「神は聞いてくださる」の意〕と名づけなさい。あなたの子孫は大きく増え広がります。主があなたの苦しみを聞き届けられたからです。その子は野生のろばのように荒々しく、思うままにふるまう暴れ者となって、すべての人を敵に回し、ほかの人たちも彼に敵意を抱きます。彼はまた、親族の者とも敵対するでしょう。」

そののちハガルは、主のことをエル・ロイ(「私を顧みてくださる神」の意)と呼ぶようになりました。彼女の前に現れたのは、実は神ご自身だったのです。「私は神様を見たのに死にもせず、こうして、そのことを人に話すこともできる」と、彼女は言いました。 のちにその井戸は、ベエル・ラハイ・ロイ(「私を顧みてくださり、生きておられるお方の井戸」の意)と名がつきました。それはカデシュとベレデの間にあります。

やがて、ハガルはアブラムの子どもを産み、アブラムはその子をイシュマエルと名づけました。 その時、アブラムは八十六歳でした。

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