使徒の働き 21:27-40, 使徒の働き 22:1-22 JCB

使徒の働き 21:27-40

その七日間が終わろうとしていた時、小アジヤから来た数人のユダヤ人が、宮の中でパウロを見つけたのです。彼らは群衆をそそのかして襲いかかり、 パウロを押さえつけると大声で叫びました。「みんな、手を貸してくれ! こいつは、とんでもないやつなんだ。ユダヤ人に逆らえだの、おきてを守るなだのとふれ回っているんだ。そればかりじゃない。神殿の規則に反することも教えている。現に、外国人をこの神聖な場所に連れ込むようなまねを平気でやっているのだ。」 彼らはその日の早朝、パウロが、エペソから来た外国人のトロピモといっしょにいるのを見かけたので、パウロが彼を神殿に連れ込んだものと勘違いしたのです。

この訴えに、町中が騒ぎだしました。人々はパウロ目がけて殺到し、むりやり宮の外へ引きずり出すと、門をぴったりしめてしまいました。 彼らがパウロを殺そうとしていた時、ローマの守備隊司令官のもとに、エルサレムが混乱状態に陥ったという知らせが届きました。 司令官は、直ちに兵士と士官を率いて現場に駆けつけました。軍隊が近づいて来たので、人々はパウロをなぐるのをやめました。 司令官はパウロをとらえると、まず二重の鎖で縛らせ、次に、「この男は何者で、いったい何をしでかしたのか」と人々に尋ねました。 ところが、人々がめいめい勝手なことを叫び続けたので、さっぱり事情がつかめません。ひとまず、パウロを兵営へ連行するように命じました。 しかし、階段にさしかかった時には、群衆の暴行を避けるため、兵士たちはパウロをかつぎ上げなければならなくなりました。 群衆は、「そいつを殺せ! 殺しちまえ!」とわめきながら、押し寄せて来ました。

兵営に連れ込まれようとした時、パウロは司令官に、「お話ししたいことがあるのですが」と言いました。そのことばに司令官は驚いて、聞き返しました。「あなたはギリシヤ語が話せるのか。ではあなたは、数年前、反乱を起こし、四千人の殺し屋を引き連れて荒野へ逃亡した、あのエジプト人ではないのか。」 パウロは答えました。「私はキリキヤのタルソ出身のユダヤ人です。お願いです。この人たちに話をさせてください。」

パウロの釈明

司令官が許可したので、パウロは階段の上に立ち、身ぶりで人々を静めました。まもなくすっかり静かになったところで、パウロはヘブル語で話し始めました。

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使徒の働き 22:1-22

22

「私の兄弟とも父とも言うべき皆さん。どうか、私の申し上げることを聞いてください。」 パウロがヘブル語で話すのを聞いて、人々はしーんと静まり返りました。 「私はキリキヤの町タルソで生まれたユダヤ人ですが、エルサレムのガマリエル先生のもとで教育を受けました。先生の門下生として、ユダヤの律法には、特にきびしく従うように教えられました。つまり、今の皆さん同様、こと神に関する限り、人並み以上に熱心だったのです。 クリスチャンを迫害し、逃げる者たちを、どこまでも執念深く追い回し、男でも女でも手当たりしだいに縛り上げて投獄したり、殺したり……。 そのことは、大祭司様も、議会の議員の方々も証言してくださるでしょう。この人たちに頼んで、ダマスコに住むユダヤ人の指導者あてに、クリスチャンを見つけしだい縛り上げ、処罰するためにエルサレムへ連行することを認めさせる手紙を、書いてもらったくらいですから。

ところが、旅をして、もうすぐダマスコという時、あれはちょうど正午ごろでしたが、突然まばゆい光が、天からさっと私を照らしたのです。 思わず倒れ伏した私の耳に、『パウロ、パウロ。なぜわたしを迫害するのか』と呼びかける声が聞こえました。 『そう言われるあなたは?』と尋ねると、その声は、『あなたが迫害しているナザレのイエスだ』と言われるではありませんか。 いっしょにいた人たちには、光は見えましたが、ことばはわかりませんでした。

『主よ。私はいったい、どうしたらよいのでしょう。』私がこう尋ねると、『立って、ダマスコの町に入りなさい。将来どんなことがあなたの身に起こるかは、そこで教えられるだろう』というお答えです。

ところが、あまりのまぶしさに目が見えなくなり、連れの者にダマスコまで手を引いて行ってもらわなければなりませんでした。 ダマスコには、律法を忠実に守る、信心深いアナニヤという人がいました。ダマスコのすべてのユダヤ人に、たいそう評判のよい人でした。 この人が来て、『兄弟パウロ。見えるようになれ』と言うと、たちまち彼の姿が見えるようになりました。

するとアナニヤはこう言ったのです。『先祖たちの神があなたをお選びになったのです。神がそのことをあなたに知らせ、イエス・キリストに会わせ、その御声を聞かせてくださったのです。 あなたがこの方の教えを携えて行き、自分で見聞きしたことを、あらゆる所のあらゆる人たちに伝えるためです。 さあ、何をためらっているのです。お立ちなさい。主の名を呼んでバプテスマ(洗礼)を受け、罪をすっかり洗いきよめていただくのです。』

こうしてエルサレムに帰り、ある日、神殿で祈っていると、うつらうつら夢ごこちになり、神の幻を見たのです。神様は、『さあ、急いでエルサレムを離れなさい。ここの人たちは、あなたがわたしの教えを伝えても信じないから』とおっしゃいました。

私は答えました。『主よ。人々はかつて私がどこの会堂ででも、あなたを信じる人たちを投獄し、むち打ったことを、いやと言うほど知っているのです。 しかも私は、あのステパノが殺された時には、それに賛成して現場に立ち合ったばかりか、石を投げつける者たちの上着の番をしたのです。』 しかし神様は、『さあ出発しなさい。あなたを遠く、外国人のところへ派遣します』と言われました。」

パウロがここまで話した時、人々はいっせいに叫びだしました。「こんなやつは消しちまえ! 生かしておくな。殺せ、殺せ!」

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