サムエル記Ⅱ 5:6-25, サムエル記Ⅱ 6:1-23 JCB

サムエル記Ⅱ 5:6-25

ダビデの町エルサレム

さてダビデは、エルサレムに入り込んでいたエブス人と戦うために、兵を率いてエルサレムへ向かいました。彼らはダビデにこう豪語しました。「おまえなどに攻め入られてたまるか。おまえなど、歩けない者であろうと、目の見えない者であろうと、だれにでも簡単につまみ出せるわ!」彼らは安心しきっていました。 しかしダビデは、現在ダビデの町と呼ばれているシオンの要害を占領したのです。

彼らの暴言を耳にしたダビデは、「地下水路を通って町に攻め上り、歩けない、目の見えない憎きエブス人を滅ぼせ」と命じました。このことから、「目の見えない者や足の不自由な者は宮に入ってはならない」と言われるようになったのです。

ダビデは、このシオンの要害をダビデの町と呼び、自身の本拠地に定めました。ついで町の旧ミロ地区から北側に、現在のエルサレムの中心部に向かって城壁を築きました。 ダビデの勢力はますます強大になっていきました。天地を支配される神、主が共にいたからです。

ツロの王ヒラムからは、ダビデ王の宮殿建設のために、上等の木材、大工、石工が送られて来ました。 今やダビデは、主が自分を王位につかせ、豊かな王国としてくださったのは、神がイスラエルの民を選び出し、特別な恵みを注ごうとされたからであると、はっきり知ったのです。

ヘブロンからエルサレムに移ってからも、ダビデはさらに妻やそばめを迎え入れ、次々と息子や娘をもうけました。 エルサレムで生まれた子たちは次のとおりです。シャムア、ショバブ、ナタン、ソロモン、イブハル、エリシュア、ネフェグ、ヤフィア、エリシャマ、エルヤダ、エリフェレテ。

ペリシテ人を倒したダビデ

ペリシテ人は、ダビデがイスラエルの王になったと聞くと、何とか彼を捕らえようとしました。ペリシテ人来襲の報が伝わると、ダビデは直ちに要害に下って行きました。 ペリシテ人は、レファイムの谷一帯に陣を張りました。

「打って出て、戦うべきでしょうか。私は勝てるでしょうか。」ダビデは主に伺いを立てました。すると、「打って出なさい。ペリシテ人をあなたの手に渡そう」と主は答えました。 そこでダビデは勇んで出陣し、バアル・ペラツィムで彼らと戦い、みごと打ち破りました。「主のおかげだ。主は押し寄せる洪水のように、敵をひと飲みになさった」とダビデが言ったので、そこはバアル・ペラツィム〔決壊〕と呼ばれるようになったのです。

その時、ダビデ軍は、ペリシテ人が置き去りにしていった多くの偶像を運び捨てました。 しかしペリシテ人はまたも反撃に出て来て、レファイムの谷間に陣を敷いたのです。 ダビデは、どうすべきか再び主に伺いました。答えはこうでした。「正面から攻めないで、敵の背後に回り、バルサム樹の林から出て行きなさい。 バルサム樹の林の上から行進の足音が聞こえたら、出陣しなさい。それは、わたしが道を備え、必ず敵を滅ぼすという合図である。」

ダビデは命令どおりに行いました。そして、ゲバからゲゼルに至るまでペリシテ人を粉砕したのです。

Read More of サムエル記Ⅱ 5

サムエル記Ⅱ 6:1-23

6

エルサレムに運ばれた神の箱

このあと、ダビデはえり抜きの兵三万を率いて、ユダのバアラへ出かけました。ケルビム(天使を象徴する像)の上に座す、天地の主なる神の契約の箱を持ち帰るためです。 神の箱は真新しい牛車に載せられ、丘の中腹にあるアビナダブの家から運び出されました。御者はアビナダブの子ウザとアフヨでした。 アフヨが先導を務め、 ダビデをはじめイスラエルの指導者たちがあとに続きました。一行は木の枝を振りかざし、主の前で、竪琴、琴、タンバリン、カスタネット、シンバルなど、ありとあらゆる楽器を鳴らして喜び踊りました。

ところが、ナコンの打ち場まで来た時、牛がつまずいたので、ウザはあわてて手を伸ばし、神の箱を手で押さえようとしました。 とたんに、主の怒りがウザに向かって燃え上がりました。箱にさわったため、ウザは主に打たれ、箱のそばで息絶えました。 この出来事にダビデは憤慨し、そこをペレツ・ウザ〔ウザへの怒り〕と呼びました。今もそう呼ばれています。

ダビデはすっかり主を恐れ、「とても主の箱を私の所に持って帰ることはできない」と言って、 それをダビデの町へ移すことを中断し、ガテ出身のオベデ・エドムの家に預けることにしました。 こうして主の箱は、三か月間オベデ・エドムの家に置かれました。主は彼の家を祝福しました。

そのことを聞いたダビデは、大いに祝って、神の箱をオベデ・エドムの家からダビデの町へ運ぶことにしました。 主の箱をかつぐ者たちが六歩進んだ時、ダビデは太った牛と子羊をいけにえにささげました。 ダビデは、主の前で力の限り踊りました。彼は祭司の服をまとっていました。 全イスラエルは歓声を上げ、ラッパを吹き鳴らして、主の箱をダビデの町に運び込みました。

しかし、行列が町に入って来るのを窓から眺めていたサウルの娘ミカルは、主の前で跳ねたり踊ったりしているダビデを見て、心の中で彼を軽蔑しました。

主の箱は、ダビデが用意しておいた天幕に安置されました。ダビデは主に、焼き尽くすいけにえと和解のいけにえをささげました。 それから、天地を支配しておられる主の名によって民を祝福し、 男にも女にもすべての民にパン一個、ぶどう酒、干しぶどうの菓子一個をふるまいました。それが終わると、みな家に引き揚げ、 ダビデも、家族を祝福するために戻って行きました。

ところが、ダビデを迎えに出たミカルは、うんざりした様子で言いました。「今日は、なんとまあごりっぱな王様ぶりでしたこと! 道の真ん中、それも女たちの前で裸におなりになるなんて。」

「私は、おまえの父やその一族にまさって、神の民イスラエルの指導者として選んでいただいた主の前で踊ったのだ。その主の前で喜びを表すためなら、たとえ気がおかしくなったと言われてもかまわない。 いや、もっと愚か者のように思われてもよい。その女たちは、きっとわかって敬ってくれるだろう。」

このミカルは、生涯、子どもが与えられませんでした。

Read More of サムエル記Ⅱ 6