ルカの福音書 19:11-44

イエスがいよいよエルサレムに近づくのを見て、今すぐにでも神の国が実現するのではないか、と早合点した人々がいました。その誤解を正そうと、イエスは一つのたとえ話をなさいました。 「ある所に身分の高い人が住んでいました。やがてその地方の王に任命されるため、遠くの都に出かけることになりました。 そこで、出発前に十人の家来を呼び寄せ、留守中に事業を始めるように、めいめいに一ミナ(一ミナは当時の約百日分の賃金に当たる)ずつ渡しました。 ところがそこの住民の中には、その人が王になるのを快く思わない人々があり、反対の声を送りつけました。 さて、その人は王位を受けて帰ると、さっそく資金を預けた家来たちを呼び集め、報告をさせました。 最初の家来は、元金の十倍というすばらしい利益をあげたことを報告しました。 王は非常に喜び、『よくやった! 感心なやつだ。少しばかりのものにも忠実に励んでくれた。ほうびに、十の町を治めさせよう』と言いました。 次の家来が進み出て、元金の五倍の利益をあげたことを報告しました。 『よくやった! おまえには五つの町を治めてもらおう。』王は上きげんで言いました。 ところが、三番目の家来は、預かった資金をそっくりそのまま差し出すではありませんか。『私はお金を大切に保管しておきました。 せっかくもうけても、横取りされてしまうのではつまりません。あなたはほんとうにひどい方で、ご自分のものでないものまで取り立て、他人の作った穀物さえ取り上げる方ですから。』 王は激しく怒って言いました。『なんて悪いやつだ! わしが、そんなにひどい人間だと言うのか。それほどよくわかっていたのなら、 なぜ銀行に預けておかなかったのか。そうすれば、利息ぐらいついたのに。』 王は側近の者たちに、『さあ、彼から金を取り上げ、一番多くもうけた者に与えなさい』と命じました。 『ですが王様。あの者はもうすでに、たくさん持っていますが。』 王は言いました。『そのとおり。しかし、持っている者はさらに多く与えられ、持っていない者は、そのわずかな物さえ失ってしまうのだ。 それから、謀反を起こした者たちはすぐここに連れて来て、わしの目の前で殺してしまえ。』」

エルサレムを目前にして

話を終えると、イエスは先頭に立ち、エルサレムに向かわれました。

一行がオリーブ山のふもとのベテパゲとベタニヤの村に近づいた時、イエスは、先に二人の弟子を使いに出して、こう指示されました。 「さあ、あの村へ行って、道ばたにつないであるろばの子を捜しなさい。まだだれも乗ったことのないろばの子です。見つけたら、綱をほどいて連れて来るのです。 もしだれかにとがめられたら、『主がお入用なのです』とだけ答えなさい。」 二人は、言われたとおりろばの子を見つけました。 綱をほどいていると、持ち主が来て、「何をしているのだ。おれたちのろばの子をどうしようというのだ」と聞きただしました。 弟子たちは、「主がお入用なのです」と答え、 ろばの子を連れて来ました。そして、その背中に自分たちの上着を敷き、イエスをお乗せしました。 イエスがろばの子に乗って進んで行かれると、大ぜいの人が次々と上着を脱ぎ、道に敷いて並べました。この一団がオリーブ山のふもとに差しかかった時、群衆の中から大きな声が上がりました。イエスが行われたすばらしい奇跡のことで、神を賛美し始めたのです。

「神がお立てくださったわれらの王に
祝福があるように。
天よ、喜べ。
いと高き天で、神に栄光があるように。」

群衆の中にいたパリサイ人たちは、これが気に入りません。「先生。あんなことを言ってます。しかってください。」 ところが、イエスはお答えになりました。「その人たちが黙っても、道ばたの石が叫びだします。」

さらにエルサレムに近づいた時、イエスは都をごらんになり、都のために涙をこぼされました。 「永遠の平和がすぐ手の届くところにあったのに、この町はそれをはねつけてしまいました。もう遅すぎます。 敵が城壁に土塁を築き、町を包囲し、攻め寄せ、 子どもたちもろとも地面にたたきつけるでしょう。一つの石もほかの石の上に残らないほど、完全に破壊されます。この町は神の訪れの時を知らなかったからです。」

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