サムエル記Ⅱ 9

ダビデとメフィボシェテ

ある日、ダビデは、サウルの家系にまだ生き残っている者がいないか、気になり始めました。もしいれば、ヨナタンとの約束があったので、情けをかけてやりたいと思ったのです。 かつてサウル王に仕えたツィバという男のことを耳にすると、さっそく召し出して尋ねました。

「ツィバとはおまえか。」

「そうでございます。」

「サウル王の血筋で、だれか生き残った者はいないか。いれば、その者を手厚くもてなし、立てた誓いを果たしたいのだが。」

「ヨナタン様のお子で、足の不自由な方がご存命です。」

「その子はどこにいるのだ。」

「今、ロ・デバルのマキルの屋敷においでです。」

そこでダビデ王は、ヨナタンの息子で、サウルの孫に当たるメフィボシェテを迎えにやりました。メフィボシェテは恐れながらやって来て、ダビデの前にうやうやしくひれ伏しました。 そんな彼に、ダビデは優しく声をかけました。「心配には及ばない。来てもらったのはほかでもない、父君ヨナタンとの誓いを果たしたいと思ったのだ。力になりたいのだ。あなたの祖父、サウル王の土地は全部返そう。よかったら、この宮殿で暮らしなさい。」

メフィボシェテは王の前に深々と頭をたれ、「死んだ犬も同然の私に、なんというご親切を」と言いました。

王はツィバを呼び出し、こう申し渡しました。「よいか、サウル王とその家の物はみな、主君サウルの孫に返した。 おまえは自分の息子や召使たちとともに、地を耕し、彼の家族のために仕えなさい。しかし、メフィボシェテはここで、私といっしょに暮らす。」

ツィバには、息子が十五人と召使が二十人いました。そこで、「承知しました。ご命令のとおりにします」と答えました。以来、メフィボシェテは、ダビデ王の子ども同様に扱われ、いつも王といっしょに食事をしました。 メフィボシェテには、ミカという幼い子がいました。ツィバの家の者はみなメフィボシェテのしもべになりましたが、 メフィボシェテはエルサレムに移って、ダビデの宮殿で暮らしました。彼は両足が不自由でした。

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サムエル記Ⅱ 10

アモン人との戦い

しばらくして、アモン人の王が死に、その子ハヌンが王位につきました。 ダビデは、「彼の父ナハシュには、常々、誠実を尽くしてもらった。私も新しい王に敬意を表そう」と、父親を亡くしたハヌンに悔やみを述べるため、使者を遣わしました。 ところがハヌンの家臣たちは、主君にこう取り次ぎました。「この使いの者どもは、亡き父君を敬ってここに来たのではありません。ダビデの魂胆は見えすいております。この町を攻める手始めに、まずスパイを送り込んできたのです。」

そこでハヌンは、使者を取り押さえ、ひげを半分そり落とし、服を腰のあたりから切り取り、下半身を裸のままで追い返したのです。 それを知ったダビデは、ひげが伸びそろうまでエリコにとどまるよう彼らに命じました。ひげをそり落とされたことを、彼らが深く恥じていたからです。

アモンの人々は、このことがダビデを本気で怒らせたことを知ると直ちに、レホブとツォバの地からシリヤ(アラム)の歩兵二万、マアカ王から兵士一千、トブの地から兵士一万二千を、それぞれ雇い入れました。 ダビデも黙ってはいません。ヨアブをはじめ全イスラエル軍を差し向けて、彼らを攻撃しました。アモン人は町の門の守備に当たり、ツォバとレホブから来たシリヤ人、およびトブとマアカからの傭兵が野に出て戦いました。 ヨアブはふた手に分かれて戦うために、精兵をよりすぐって自らの配下に置き、野に出てシリヤ人と戦う備えを固めました。 残りの手勢は兄弟アビシャイの指揮に任せて、町の攻撃に向かわせました。 ヨアブはアビシャイに言いました。「もしシリヤ人を向こうに回して、われわれだけで戦えないようなら助けに来てくれ。反対に、アモン人がおまえらの手に負えないようなら、こちらが加勢しよう。 勇気を出せ! われわれの肩には同胞のいのちと、神の町々の安全がかかっている。がんばるのだ。必ず主のお心のとおりになるのだから。」

ヨアブの部隊が攻撃をしかけると、シリヤ軍はくずれ始めました。 彼らが敗走するのを見て、アモン人も逃げ出し、町にこもってしまいました。そこでヨアブは攻撃を中止し、エルサレムに引き揚げました。 シリヤ人は、このままではとてもイスラエル軍にかなわないとわかり、再び兵力の結集を計りました。そしてハダデエゼルは、ユーフラテス川の向こうから呼び集めたシリヤ人を味方に引き入れたのです。彼らの大軍は、ハダデエゼル軍の将軍ショバクに率いられて、ヘラムに着きました。

ダビデはこの報告を受けると、自らイスラエル軍を率いてヘラムに向かいました。攻撃をしかけてきたシリヤ軍は、 再び敗走するはめになってしまいました。この戦いで、シリヤ軍は戦車兵七百と騎兵四万を失い、将軍ショバクも戦死しました。 ハダデエゼルと同盟を結んだ王たちは連合軍の敗北を見てダビデに降伏し、その臣下となりました。これにこりたシリヤ人は、二度とアモン人を助けようとはしませんでした。

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